イギリス怪奇幻想集 岡 達子 訳編 (1998年3月30日初版) 18人の作家による怪奇短編小説のアンソロジー集“Ghost Stories”(エブリマン叢書 1937年版)から、イギリス人作家の作品7編をピックアップしたもの。 |
■ 早朝の礼拝 /マーガレット・アーウィン (1889-1967) 16歳のジェーンはアングロサクソン時代に作られたクラウド・マーティン教会での夕方の礼拝中に幻覚めいたものを見る。教区牧師である父が祭壇に向かう時、白いサープリスを着ている父の姿が黒い服の小柄な人影に見えるのだ。ジェーンは小さい頃からその教会に自分でもよくわからない不吉なものを感じていた。来週に受けなくてはならない堅信式にも何かしら不安を感じる。 そんな折に、オックスフォード大学にいる兄のヒューがヨークという友人を連れて帰省してくる。古い落書きの拓本をつくるのが趣味だというヨークを、ジェーンは家族用の席のそばの壁に刻まれた傷のところへ案内する。拓本をとると、「善に仕え、悪と結び合うべし」というラテン語が読み取れた。ヨークとジェーンはすっかり打ち解けるが、二人でその教会の小扉から出るとき、ヨークはその扉の横に小柄な男がいるのを見かけた。 歴史の古い教会で古くに行われていた黒ミサにまつわる幻想的な怪異譚。作者のアーウィンは歴史物の女流作家。 ■ セアラの墓 (1900) /F・G・ローリング 無名の作家による吸血鬼テーマの佳作。 ■ メディシン湖の狼 (1921) /アルジャノン・ブラックウッド (1869-1951) ■ ラント夫人の亡霊 /サー・ヒュー・ウォルポール (1884-1941) ■ ビュイックにつきまとう声 (1936) /アン・ブリッジ (1889-?) ■ 白い道 (1939) /E・F・ボズマン ■ ウォッチャー ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ (1814-1873) |
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