怪奇小説作家録  

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  「オトラント城 The Castle of Otranto」 (1764) /ホーレス・ウォルポール
 恐怖を主題に、中世を舞台にしたサスペンスのプロットを築き上げたことでイギリスのゴシック文学の元祖となった作品。
 作者はストロベリー・ヒルに購入した別荘を改築して中世城郭を再現したほどの中世趣味を持つイギリス貴族ウォルポール。「オトラント城」は彼が2ヶ月ほどかけて道楽半分に書き上げた中世ロマンスである。

 13世紀イタリアのオトラント城を舞台にした怪異譚。かつてのオトラント城主アルフォンゾ公が、自分を毒殺し妻と城をのっとった暴君の子孫であるマンフレッド公をたたって、様々な怪奇現象を起こす。それに城内の人物の恋愛関係が複雑に絡み合う。
 やがてマンフレッド公夫妻は二人の後継ぎを失って僧院に入り、新たな城主はアルフォンゾ公の子孫が継ぐことになる…。

 この物語は発表後にセンセーショナルな人気を呼び、その後50年の間に200編近くのゴシック小説が追随した。


B.ケイプス Bernard Capes 1854-1918

 イギリスの作家。ロンドン出身。ボウモント・カレッジを卒業して紅茶仲買人の事務所勤務の後、スレイド美術学校で修学、1888年、出版会社のエグリントン社に就職し編集の仕事に携わる。エグリントン社が閉社された後、1896年に『シカゴ・レコード』紙のミステリー小説コンテストに応募し、『無言の水車場』が入選、41歳にして作家としてデビューする。ミステリー、歴史、伝奇、ロマンス、冒険、怪奇と様々なジャンルで多数の短編、29篇の長編小説を書く。
 大衆作家として文壇とは無縁の存在だったが、没後、「ヴィクトリア朝怪談小説を現代文学の土壌に移植した」作家として評価される。その作風は詩的想像力の豊かさ、耽美主義、意識の深層への関心などを特徴とする。



 ■ E.F.ベンスン Edward Frederic Benson 1867-1940

 イギリスの作家。カンタベリ大主教E.W.ベンスンの三男(弟のロバート・ヒュー・ベンスンも怪奇小説史に名を残す作家)。風俗作家としてデビュー、1912年に初の怪奇小説集『塔の中の部屋 The Room in the Tower』を発表し怪奇愛好家の評判をとる。以後の怪奇小説作品は『見えるものと見えざるもの Visible and Invisible』(短編集 1923)、『コーリン Colin』(1923)、『コーリンII Colin II』(1925)、『幽霊譚集 Spook Stories』(短編集 1928)、『続幽霊譚集 More Spook Stories』(短編集 1934)。代表作品は「塔の中の部屋」、「遠くへ行きすぎた男」、「アムワース夫人」、「芋虫」、「顔」など
 ライ市の市長(1934〜37)やケンブリッジのモードリン・カレッジ評議員を務めた社会的名士でもある。


   ■ W.H.ホジスン EWilliam Hope Hodgson 1877-1918

 イギリスの作家。Eセックスの英国国教教会牧師サミュエル・エジスンの第二子として生まれる。1891年、13歳のときに父が死去したためリヴァプールに赴き、外洋航行の帆船の給仕として雇われる。以後8年間の船乗り生活で3度の世界周航を体験。航海士から繰り返し虐待を受けたつらい経験から柔道を習い始め、ボディ・ビルダーとしても身体を鍛える。また、写真技術も学び、海洋写真家としても名を上げる。体育や写真の記事により1903年から文筆活動を開始、翌1904年には創作に転じる。
 代表作は「夜の声」に代表される海洋怪奇短編小説や『幽霊狩人カーナッキ』シリーズ、黙示録的長編「ナイトランド」など。
 第一次世界大戦中、志願兵として戦場に赴き、1918年フランスの前線で戦死。享年40歳。




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